電子タバコを吸う若者の体内から大量の有害物質が検出される!紙巻きとは異なる新たな“発がんリスク”も明確に

どうしてもたばこを吸いたい人たちに人気の電子たばこ。販売各社のホームページには、健康被害の減少を想像させるような、何とも耳当たりの良い言葉が並ぶ。アメリカでは10代の喫煙者も電子たばこを嗜むほど、若者の流行アイテムになっているという。本当に電子たばこは健康被害が少ないのか? 米カリフォルニア大学の研究班が調査を開始し、結果を大手メディア「ABC News」が報じた。

今回集められた治験者は、約100名のティーンエイジャー。16人は電子たばことスタンダードな従来のたばこの、いわば両刀使いの愛煙家、67人は電子たばこ喫煙者、20人は非喫煙者だ。彼らの尿と唾液を検査し、がんとの関係性を探った。

このうち「両刀使い派」の尿からは、ベンゼン、酸化エチレン、アクリロニトリル、アクロレイン、アクリルアミドといった、発がんリスクのある物質が高数値で検出された。これは、電子たばこ喫煙者グループの3倍もの数値になる。

電子たばこのみを嗜むグループの方が、普通のたばこも吸う治験者たちよりも有害物資が低い水準であることがわかり、確かに電子たばこは、やや健康的といえる。

しかし、非喫煙者と比べると、アクリロニトリル、アクロレイン、酸化プロピレン、アクリルアミドの数値は3倍であり、電子たばこが完全に有害物質をシャットしていない事実も同時に浮かび上がった。

もちろん、こうした有害化合物はがんのリスクを高める。

研究チームは「電子たばこにも発がん物質は存在し、若者の健康を損ねていることに変わりはない」と結論付けた。

■フルーツ味の電子たばこに高いアクリロニトリル濃度

ちなみに、電子たばこが人気の理由は健康サポートという側面だけではなく、電子たばこ独特の「味」にもあるという。普通のたばこでは再現できないフレーバーを電子たばこなら付けることが可能になり、その結果、フルーツ味も開発された。

これが若者の間で人気商品となり、多くの若者がフルーツ味の電子たばこを好んで吸うようになったが、これこそがもう一つの発がんリスクであるという。どういうことか?

実は今回の検査において、電子たばこの中でもどの味を普段よく吸うのか、事前に治験者に聴取していた。その結果、今までフルーツ味を吸っていた治験者たちのアクリロニトリル濃度は、メンソールなどの定番フレーバー愛煙者たちから検出された濃度よりも、一層高い結果となった。電子たばこ愛煙家の55%がフルーツ味を選択していることから、「電子たばこの安心感と誘惑が招いた健康被害」とも言えるだろう。

電子たばこと発がんリスクの関係を調べる研究は過去にも何度かされてきたが、10代にターゲットを絞って行われたのは今回が初めてという。電子であろうと、たばこであることに変わりはない。どうしても電子たばこを嗜むのなら、せめてフレーバーや吸う回数を十分に考慮したいところだ。
(文=鮎沢明)

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