米FDAがニコチン含有量削減を提案、電子たばこに追い風

[ワシントン 28日 ロイター] – 米食品医薬品局(FDA)は28日、たばこのニコチン含有量を「中毒性のない」水準まで減らすよう義務付ける規制を提案した。通常のたばこに比べ、健康被害が小さい可能性のある電子たばこへの移行を促す大きな政策転換となる。

ゴットリーブ長官は「ニコチン自体は、毎年数十万人の米国人の死因となるがんや肺病、心臓病の原因ではない」とし、直接の原因はたばこの煙に含まれる他の化合物だと説明した。

アナリストは、欧州の規制当局もニコチン含有製品について同様の行動を起こすと予想した。

FDAの提案は、ニコチン入り電子たばこが健康リスクを高めるのか、あるいは良い影響をもたらすのかについての議論に火をつけそうだ。

ゴットリーブ長官は「これらの商品とそのリスクについてはなお、多くの調査を行う必要があるが、恩恵をもたらす可能性もあることは考慮すべきだ」と述べた。

5月9日に長官に承認されたゴットリーブ氏は以前、電子たばこ「VAPE(ベイプ)」の店舗に金銭的に関与していたことがあり、電子たばこ業界に好意的な人物と見られている。

提案が施行されるには今後、市中協議など長期間にわたる作業が必要になる。

提案を受け、28日の米英の株式市場では米フィリップ・モリス・インターナショナル<PM.N>、米アルトリア・グループ<MO.N>、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)<BATS.L>など主要たばこ銘柄が軒並み急落した。

ETXキャピタル(ロンドン)のシニア市場アナリスト、ニール・ウィルソン氏は「この提案が関連企業にもたらす影響は、いくら誇張しても誇張し切れない。ニコチンを中毒性のない水準に減らせば喫煙者はぐっと減り、吸い続ける人々でも喫煙量は大幅に減るだろう」と述べた。

大半の主要たばこメーカーは、通常のたばこの販売減による打撃を和らげるため、以前から電子たばこその他のニコチン吸引器にも投資している。

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