“加熱式たばこに水銀” 殺人未遂容疑で男を逮捕 滋賀

去年6月、水銀を入れた加熱式たばこを会社の元同僚の男性に吸わせて殺害しようとしたとして、大津市の36歳の男が殺人未遂の疑いで逮捕されました。

逮捕されたのは大津市の設備業、宮脇貴史容疑者(36)です。

警察によりますと宮脇容疑者は、去年6月、滋賀県栗東市に住む30代の知り合いの男性に水銀を注入した加熱式たばこを渡して吸わせ、殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いが持たれています。

男性は、宮脇容疑者が以前経営していた会社の同僚で、市内の路上で渡された20本入りのたばこ1箱を翌日にかけてパチンコ店などで10本余り吸ったあと、頭痛やろれつが回らなくなるなど中毒の症状を引き起こして病院に運ばれました。

男性からの届け出を受けた警察が残っていたたばこを詳しく調べた結果、水銀が検出されたということです。

警察によりますと、調べに対し、容疑を認め「1本につき0.3グラムから0.5グラムの水銀を注入した」などと供述しているということで、警察は注入方法や動機などを詳しく調べることにしています。

「加熱式たばこ」は、電池で加熱する専用の器具にたばこを入れて蒸気を吸うもので、煙や臭いが少ないことから最近、利用する人が増えています。

加熱式たばこ人気高まる

「加熱式たばこ」は、専用のたばこを器具に入れ、火を使わず加熱することで出る蒸気を吸うもので、人気が高まっています。

直接たばこの葉を燃やす「紙巻きたばこ」やニコチンを含まない液体を加熱する「電子たばこ」とは異なります。

加熱式たばこの蒸気にはニコチンが含まれていますが、販売各社によりますと、「紙巻きたばこ」に比べて、たばこ特有のにおいが少なく、有害物質も大幅に減らせるほか、火を使わないため、やけどや火災の原因になるおそれも少ないということです。

日本たばこ協会によりますと、「紙巻たばこ」の販売数は減少傾向で、昨年度はピーク時のおよそ20年前と比べて半数以下の1680億本にとどまっているのに対し、「加熱式たばこ」の需要は高まっていて、JT=日本たばこ産業によりますと、去年1年間のたばこの販売総数のうち、およそ12%に上ると見られるということです。

「水銀」専門家は

「日本中毒学会」の理事を務める近畿大学医学部の丸山克之講師によりますと、「水銀」は金属の一種ですが、常温では液体の状態のため蒸発しやすく、たばこなどに混入していた場合熱で蒸気となって、直接肺に吸い込まれるということです。

丸山講師によりますと「水銀」は、一度に大量に体内に入ると、頭痛や体のしびれのほか呼吸困難などの症状が起こり、量によっては死に至る場合もあるということです。

また少量でも長期間、摂取し続ければ神経や腎臓が傷ついて健康への影響が出るということで、手足のしびれなどの後遺症が残るおそれもあるということです。

丸山講師は「水銀は強い毒性を持っていて、法律でも毒物に指定されている。特に蒸気の形で吸い込んだ場合は、口から入るよりも血管から吸収されやすく、比較的少ない量でも症状が出るおそれがあり、さらに注意が必要だ」と話していました。

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