受動喫煙防止「家庭でも禁煙を」 都の条例成立

東京都議会で5日、小池百合子知事が実質的に率いる地域政党「都民ファーストの会」と公明党、民進党が共同提出した「子どもを受動喫煙から守る条例」が、自民党を除く賛成多数で可決、成立した。子どもがいる家庭内などで禁煙を求める内容だが、努力義務で罰則規定はない。私的空間の禁煙に努力義務を課す条例は全国初という。施行は来年4月。

受動喫煙防止条例が賛成多数で可決、成立した都議会本会議(5日)受動喫煙防止条例が賛成多数で可決、成立した都議会本会議(5日)

今回の条例は、18歳未満の子どもに受動喫煙をさせないよう努めるのは「都民の責務」と明記。保護者や喫煙者に、子どものいる部屋や自動車で喫煙しないことや、分煙対策が不十分な飲食店やカラオケボックスなどに子どもを立ち入らせないことを求めた。学校や公園の周辺でも受動喫煙防止に努めるとした。  都議会では行政が家庭を含む私的空間の行動を制限することに疑問の声が上がり、自民党は「条例が家庭内にまで踏み込むのは『法は家庭に入らず』の原則から納得できない。継続審議すべきだ」と反対した。  2020年東京五輪・パラリンピックに向けて都の受動喫煙防止策は2段階で行われる。今回の議員提案による条例制定とは別に、都は施設や飲食店など屋内を「原則禁煙」とする罰則付きの条例を制定する方針で、来年2~3月の都議会に提出する見通しだ。  条例に違反した喫煙者や施設管理者には勧告や命令などをし、さらに違反した場合は5万円以下の過料を科す。19年のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会までの施行を目指している。  受動喫煙防止策について、国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのない五輪」を推進し、近年の五輪開催国では罰則付きの法律や条例を制定する流れが定着している。国も受動喫煙防止策を強める法改正をしたい意向だが、たばこ業界や飲食店業界の反対が強く、改正案の国会提出まで至っていない。

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